梅が見ごろを迎えている。ことしは年明けからの寒波と少雨で例年よりも開花が遅れたが、日本一の梅の産地のみなべ町では山々が白い花と赤いがくで薄ピンク色に染まって見えるほどきれいだ。町内にある南部梅林と岩代大梅林は連日大勢の観梅客でにぎわっている。運営する観梅協会では誘客を狙ってさまざまなイベントを企画し、土日祝日には獅子舞の披露、もち投げなど多彩に繰り広げている▼岩代大梅林では、ことし初の試みとして「夜梅祭」が催された。咲き誇る梅の花を投光機やちょうちんでライトアップして観梅を楽しむ企画。去る11日に1回目、19日には2回目を実施。実際に訪れてみると、梅林は幻想的でロマンティックな雰囲気に包まれ、「とてもきれい」とカメラに収める来場者の姿がみられた▼岩代大梅林のイベントを企画しているのは地元の青年たち。「みなべ町に人が集まる拠点をつくりたい」と、熱い情熱を持って取り組んでいる。観梅期間中には京阪神などから大勢が訪れており、地元の特産品などをPRする絶好の場として、地域おこしにもつながる▼岩代大梅林は17年前の平成6年に約30㌶の梅畑を利用してオープンした。南部梅林と比べると歴史は浅いが、いまのように知名度が高くなるまでには多くの苦難もあったことだろう。まさに地元に住む住民らが受け継いできた、努力の賜物といえる。そして、いま頑張っているのは20、30代の若者たち。一人の青年に「岩代大梅林のスタッフは若い人が多いですね」と声をかけると、「これからは俺たちが頑張る番」と目を輝かせていた。それが地域の大きな力となっているのだろう。 (雄)