20107019-1.jpg ジメジメと蒸し暑く、 うっとうしい天気が続く梅雨。 湿度と気温が高くなる6~8月は細菌が繁殖しやすく、 1年中で最も食中毒が多い季節です。 近年、 全国的には鶏肉などに多く含まれるカンピロバクター、 卵や肉類を通じて感染するサルモネラ菌の食中毒が増加傾向。 厚生労働省や県は飲食店をはじめ、 一般家庭にも調理方法や調理器具の消毒、 手洗い励行など予防対策を呼びかけています。
  食中毒とは、 食中毒菌やウイルスを含む食べ物を食べたりすると起こる症状。 多くは菌やウイルスが体内に入って1、 2日後に症状が出ますが、 早い場合は食べた直後の30分後、 長い場合は2週間以上たって症状が表れる場合があります。
 近年、全国的に増えているのがカンピロバクター食中毒。厚生労働省によると、このカンピロバクターは鶏や牛の家畜をはじめ、ペット、野鳥などいろんな動物が保菌していて、感染すると下痢、腹痛、発熱、悪寒、嘔吐、頭痛など、他の感染型細菌性食中毒とよく似た症状が出ます。ほとんどの人は1週間ほどで治り、死亡したり重篤なケースはまれですが、子どもや高齢者など抵抗力の弱い人は重症化の可能性が高く、注意が必要。潜伏期間が2~5日間と少し長いことが特徴です。
  主な推定原因食品、 感染源は、 鶏肉と関連調理食品とその調理過程の加熱不足等による2次感染が多いといわれています。 平成20年に全国で発生したカンピロバクター食中毒のうち、 原因食品として鶏肉が疑われるものは、 鶏レバーやささみの刺身、 鶏のタタキや鶏わさなどの半生製品が60件。 欧米のように、 生の牛乳を飲む習慣のある国では、 加熱殺菌されていない牛乳を飲んで感染するケースが多くありますが、 日本では鶏肉や牛肉の生食以外に、 殺菌が不十分な井戸水や湧き水、 簡易水道水を飲んでの感染も報告されています。
 予防法としては、 「加熱調理でカンピロバクターを死滅させる」 「カンピロバクターに汚染されている可能性のある食品からの2次汚染を防止する」 の2点。 具体的には▽食肉は中心部を75度以上で1分間以上加熱調理する▽他の食品と調理器具や容器を分けて処理、 保存を行う▽食肉をさわったあとは手を洗ってから他の食品をさわる▽食肉にふれた調理器具等は使用後、 洗浄・殺菌を行うなどです。
  ほか、 サルモネラ菌やO157も含め、 県は 「家庭でできるHACCP (ハサップ)」 として、 日常の基本的な食中毒予防法をPRしています。 食中毒予防は食中毒菌を 「つけない」 「増やさない」 「殺す」 が三原則で、 ポイントは①肉や魚、 野菜など生鮮食品は消費期限を確認、 新鮮なものを買う②冷蔵や冷凍の必要なものはすぐ冷蔵庫で冷やし、 肉や魚はビニール袋に入れる③生の肉や魚、 卵をさわったり、 動物をさわったり、 トイレのあとは石けんを使ってよく手を洗う。 まな板や包丁の調理器具、 ふきん、 スポンジ等はよく洗い、 洗浄後に熱湯をかけたりして消毒する④調理は清潔な場所で素早く、 加熱は十分に⑤食事の前には必ず手を洗い、 調理が終わればできるだけ早く食べる⑥残った食品は清潔な容器に小分け、 冷やして保存し、 温めなおすときも十分に加熱するの6点。
 
20107016-2.jpg  県では6月1日から9月30日までの期間中、 県北部と県南部に分けて、 2日前の平均気温や当日の最大湿度、 翌日の予想平均風速など、 一定の基準を超える気象に関する数値が重なった場合に 「食中毒注意報」 を発令。 ことしはまだ発令されていませんが、 すでに7月13日までに3件の食中毒が発生しています。 また、 冬場になると毎年のように、 胃腸炎下痢症を引き起こすノロウイルスによる食中毒が多く発生しています。