2010-6-11-1.jpg 日高地方は日高川町など山と川の自然のほか、沿岸部の海の景観もIターン先として人気がある。日ノ御埼や煙樹ケ浜が有名な美浜町は以前から多くの別荘が建てられ、この10年ほどは田舎暮らしブームもあって、都会からの移住者が増加。明治から昭和にかけて、多くの人がカナダへ渡った「移民の村」の三尾地区は、いまはIターンの人たちが集まる田舎暮らしのメッカとなっている。地元住民と新たな住民の協働を紹介する。
 日本が高度経済成長を遂げたあと、生活にゆとりができた人たちは余暇を楽しむ「別荘」を持ち、美浜町の三尾地区では民間事業者による別荘地の分譲、住宅の販売が進められてきた。バブルが崩壊、景気が落ち込むなか、三尾は二地域居住や定住の田舎暮らしの地として人気が高まっており、紀伊水道に面した海の景観、山の自然、どこかエキゾチックな町並みが都会の人たちを惹きつける。
 漁港から西の日の岬パークへ向かう途中、水平線から手前の海岸に目を落とすと、打ち上げられた漂着ごみが目につく。「これではせっかくの景観も台無し」と、都会から移り住んできた女性や地元の男性が拾い集めるようになり、この地道な活動が少しずつ広まり、おととし10月、「三尾の浜を守る会」が発足した。世話人は現在、約20人おり、半分ほどがIターンの移住者。自身、尼崎市からの移住者である区長の谷岡元武さん(69)が会長を務め、毎月第1土曜の朝、海岸に集まってごみを拾い集めている。

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