春に川を遡上し、夏の間、釣り人を楽しませてくれたアユが、落ちアユの季節を迎えた。アユの代表的な釣法といえば友釣り。アユは石に付着したコケを食べるため、石の周囲に縄張りをつくる。その縄張りに侵入してきたアユに体当たりする習性を利用したのがこの釣りだ。鼻環を付けたおとりアユを縄張りの持つ野アユの近くに泳がせ、攻撃してきた野アユを掛け針に引っ掛けて釣り上げる日本の伝統的な釣法である▼夏場は縄張りを持ち、活発に餌場を守っていたアユも、秋になると産卵を控えて群れをつくり、川を下り始める。こうなると以前のような攻撃性は薄れ、友釣りのシーズンも終わりを迎える。釣り人にとっては、どこか物寂しさを感じる時期だ▼筆者は今年も暇さえあれば日高川に通い詰めた。しかし、夏場の少雨による渇水の影響もあってか、思うように釣果は伸びず、例年の半分程度にとどまった。それでも、川で竿を出す楽しみはやめられない。「きょうもダメかな」と思いながらも早朝から川へと車を走らせる日々が続いたが、先日、今シーズンのアユ釣りを納竿した▼今シーズンの友釣りが終わり、来年への思いを描く釣り人もいるだろう。筆者も今年の反省を踏まえ、「来年はもう少しポイントを広げてみよう」「仕掛けもいろいろと試してみよう」と、早くも来シーズンに思いを馳せている。竿を納めたその日から、来期のアユ釣りは始まっているのかもしれない▼清流の中で竿を出し、思い通りにアユが掛かった瞬間の心地よさ。そして、釣り上げた魚体の美しさ。そんな思いがあるからこそ、シーズンが終わっても、また来年の川に思いを募らせる。アユ釣りの魅力は尽きることがない。(雄)