10月7日は「ミステリー記念日」。世界初のミステリ―小説といわれる「モルグ街の殺人」を書いた米国の作家エドガー・アラン・ポーが、1847年のこの日に亡くなった◆まだ浦賀にペリーも来ておらず、日本とアメリカに何の関係もなかった頃だが、それから百数十年を経てミステリーは日本の数ある小説のジャンルの中でも最も人気あるものの一つとなっている◆筆者がミステリーの魅力にとりつかれたのは中1の時、学校の図書室で借りたエラリー・クイーンの「エジプト十字架の秘密」が発端だった。ニューヨークから始まり全米を舞台に、青年探偵エラリーと父のリチャード警視というクイーン親子が探偵役として活躍する。もう一つの国名シリーズ「シャム双生児の秘密」もあり、知的で快活な探偵エラリーに魅せられて、片っ端から文庫本を集めるようになった◆「名探偵」という立役者の活躍ぶりがこのジャンルの大きな魅力。クイーンの作品については親子のやりとりも面白く、謎解き以上に物語として楽しく読んだ。というより自分の推理力に自信などまったくなく、ひたすら観客に徹して最後に明かされる意外な事実に「えーっそうだったのか」とびっくりさせてもらうのを楽しんでいた◆秋の夜は「灯火親しむべし」といわれる、読書に最適の時期。じっくり読み込む必要のあるミステリーは秋の夜長と相性がいい。現実とは次元の違う非日常に心遊ばせるのは読書の大きな楽しみの一つだ◆昨今の若者はサプライズが苦手といわれるが、知的な驚きは精神衛生上非情にいい効果があり、ストレスも軽減するという。驚かせてもらう楽しさを存分に味わえる古今東西のミステリーは、人類の財産でもある。(里)

