日高地方では稲刈りシーズンを迎え、もうすぐ地元で収穫された新米が食べられる季節。新米は収穫直後のため水分量が多く、炊き上がりはふっくら、もちもち感がある。甘みや香りが豊かで、古米と比べて粘りが強く、柔らかな食感が特徴だ。炊き上がった一粒一粒には艶があり、新米で作ったサバ寿司は格別の味。まさに秋の味覚の一つといえるだろう。
しかし、気になるのは近年のコメの価格。2024年から25年にかけての「令和の米騒動」で、コメの価格が一気に跳ね上がった。その反動による消費者のコメ離れや政府による備蓄米の放出などを背景に、今年6月末の民間在庫は243万㌧となり、過去最高を記録。この動きに比例するように、コメの価格は今年に入って下落傾向が続いている。
そうした状況の中で迎える今年の新米出荷。JAわかやまによると、新米の概算価格はコシヒカリなどの1等米で、60㌔当たり1万6000円。昨年の3万円と比べると、半値程度まで大きく下がった。消費者にとって、毎日の食卓に欠かせないコメだけに、価格が下がるのは家計を楽にする。一方、農家にとっては、肥料や燃料などの生産資材が高騰するなか、コメの価格下落は深刻な問題だ。
田んぼで実る稲穂は、毎年そう大きく変わるわけではない。しかし、そこにはコメを栽培する農家、そして、そのコメを食べる消費者の暮らしがある。安すぎれば稲作の後継者不足に拍車がかかる。逆に高すぎれば、コメ離れを招くことにもなりかねない。稲の収穫期に日本人の主食であるコメについて、考える必要があるのではないか。「新米を食べるのが楽しみ」とばかり言ってはいられない。(雄)

