今年は、宮沢賢治生誕130周年。先日、8月27日が130回目の誕生日であった。29日には御坊市民文化会館で、音楽ユニット「リラオルフェ」の主催する宮沢賢治作品の読み聞かせイベント「おととおはなし」が行われた◆読み聞かせ作品は2編、「やまなし」と「月夜のでんしんばしら」。賢治が愛した作曲家、ベートーベンの楽曲のバイオリンとピアノ演奏も行われた。「やまなし」は小学6年生の国語教科書に載っていたので、朗読をなつかしく聴いた。「クラムボンはかぷかぷ笑ったよ」という、意味は不明でも印象的なフレーズを覚えている人も多いのではないだろうか◆宮沢賢治作品の特徴の一つに、独特のオノマトペ(擬音語・擬態語)がある。筆者は子ども時代、父に買ってもらった「どんぐりと山猫」を愛読していたが、表題作の「どんぐりと山猫」だけでも、別当は「ひゅうぱちっ ひゅうぱちっ ひゅうひゅうぱちっ」と鋭くむちを鳴らし、まわりの山はみんな「今できたばかりのようにうるうるもりあがって青い空の下にならんで」いる。ゴーシュの弾くセロは「ごうごう」とうなり、オッベルにこき使われる白象を助けようと行進する象の群れは「グララアガア グララアガア」と怒りの雄叫びを上げる。よだかが最期に星になる前には、夜空に高らかに「キシキシキシキシッ」と叫ぶのである◆子ども時代に出会う作品の存在は大きい。耳からその作品に馴染む時、年齢が低いほど詩人の感性と直接ふれあえるように思う。今回のイベントの対象年齢は0歳からだった。詩情豊かな「やまなし」という作品の魂が、ベートーベンの深みのある調べに乗せて子どもたちの心に届いていればいいと思う。(里)

