日高川町初湯川、美山温泉愛徳荘の近くにある小さな書店、イハラ・ハートショップで、先月、81歳で他界した絵本作家林明子さんの作品(絵)を集めた追悼パネル展が開かれている。同店は24年前、林さんと出版社の協力を得て「こんとあき」のエスキース(下絵)展を開催。作家自身による読み聞かせ会など、店のモットー「子どもと本をつなぐ」活動の原点にもなっており、今回は林さんをしのび、感謝を込めて16枚のパネルなどを展示している。


林さんは1945年、東京に生まれ、73年に発行された「かがくのとも」11月号の「かみひこうき」で絵本作家デビュー。子どもへの愛情に満ち、子どもの表情を生き生きと描いた絵が幅広い世代の支持を集め、筒井頼子さんとの共作「はじめてのおつかい」は50年以上のロングセラーとなっている。ほかにも、自身で文章も手がけた「おつきさまこんばんは」「こんとあき」など代表作は多く、作品の累計発行部数は2000万部以上に上る。先月1日、肺炎のため長野県内の病院で死去した。
2002年、林さんの作品に感銘を受けたハートショップのオーナー井原万見子さんが東京の出版社(福音館書店)に「こんとあき」のエスキース展の開催を要望。林さんの快諾を得て開いた展示会には、4日間で県内外から300人近い人が訪れた。
その後も「かいけつゾロリ」の作者原ゆたかさんのサイン会&お絵描き会をはじめ、自然写真家今森光彦さん、絵本作家宮西達也さんら作家本人によるお話し会やお絵描き会、アニメーション美術監督男鹿和雄さんの原画展などを開催。24年前の林さんのエスキース展について、井原さんは「子どもたちと本をつなぐ活動の原点」と振り返る。
林さんの死去から1週間後に訃報が流れ、井原さんはエスキース展に訪れたファンの人からSNSを通じて追悼展のリクエストもあり、あらためて作品の魅力を多くの人に伝えたいと、27日から「ありがとうを虹のむこうへ。」と題した展示をスタートさせた。今年4月に刊行された「子どもを描く 林明子の世界」に掲載された絵のパネル16枚を展示している。期間は9月26日まで。
井原さんは「これまで三度開催した『こんとあき』のエスキース展は、小さな本屋の活動の新たな一歩が始まるきっかけとなりました。展示をご覧いただきながら、作品との思い出や心に残る一場面を振り返っていただけましたら幸いです」と話している。
営業時間は午前11時から午後5時まで。今月13~15日は午後1~5時。日曜休み。問い合わせは同店℡0738―57―0086。

