
7月は芥川賞・直木賞受賞作品の発表月。今月のテーマは「芥川賞作家」とします。
「玄関風呂」(尾崎一雄著、岩波文庫「暢気眼鏡・虫のいろいろ」所収)
尾崎一雄は昭和期に活躍した作家で、身辺の出来事をユーモラスに描く短編小説等で人気を博しました。昭和12年、「暢気眼鏡」で第5回芥川賞を受賞。「玄関風呂」は、年の離れた無邪気な妻芳枝が思いつきで買った大きな風呂桶の置き場がなく玄関先に置いたが、思いついて夜中に入ってみるという話。
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美しい星空で、降るような虫の音だ。初夏の夜の微風が、裸に快い。私は時々とまる薮蚊をたたきながら、いい気持で鼻唄などうたい出した。(略)
突然路地の方から、「オイオイ」と尖った超えがした。お巡りさんなのだ。
「風呂かね」
「風呂です」
「野天風呂だね。風呂には囲いをした方がいいね」
「します」
「それはともかくとして、歌はいけないよ。もうそろそろ二時だぜ君」
「失敬しました」


