世界中が熱狂しているサッカーワールドカップ。日本はグループリーグを2位通過し、ノックアウトステージ(決勝トーナメント)に進出したが、1回戦で5度の優勝を誇る王者ブラジルに1―2で敗れた。「最高の景色を」をスローガンに掲げ、初優勝を目標に挑んだ日本だったが、その夢は道半ばで絶たれた。それでも日本のサポーターが試合後にスタンドのごみを拾い集めたり、選手たちが使ったロッカールームをきれいに整頓したりする姿は世界から称賛された▼日本のワールドカップの歴史を振り返ると、1993年のアジア最終予選イラク戦でロスタイムに同点弾を浴び、本戦出場を逃した「ドーハの悲劇」を経験。その悔しさを糧に98年のフランス大会で本戦初出場。前回(2022年)のカタール大会では強豪国を破るなど、大会を重ねるごとに着実に力をつけてきた。その歩みは悔しさを忘れず挑戦を積み重ねてきた結果といえる▼今大会では敗戦後、フィールドを後にする森保一監督はサポーターに両手を振り、深々と頭を下げて一礼。インタビューを受けた選手は「実力不足だった」と敗戦を受け止めながら、「優勝という目標は変える必要はない」と、早くも次の大会を見据えた。敗れても感謝の気持ちを忘れずに礼節を尽くし、次への挑戦に目を向ける。それは日本の美徳と誇りを表した行為と言える▼試合終了のホイッスルが鳴ると、フィールドには涙を流しながら座り込んだまま立つことができない選手たちが映し出された。その光景に客席からは大きな拍手や声援。優勝という「最高の景色」は叶わなかったが、全力を出し尽くした日本代表チームやサポーターの振る舞いは「最高の景色」だったと言えるだろう。(雄)

