1年の半分が過ぎる6月30日。半年間の厄を落とすとともに、後半を無事に乗り切るために行われるのが「夏越の祓(なごしのはらえ)」だ。ススキなどで作られた「茅の輪」をくぐり、そしてこの季節の伝統的な和菓子「水無月」を食べる◆三角形の白いういろうの上に、甘く煮た赤い小豆が一面にのった菓子だ。京都の発祥で、江戸時代の武家の行事「氷室の節句」の氷をかたどったものという。三角形の形は、四角を半分に切ったことで1年の半分を表し、小豆の赤い色は厄除けの意味があるとされる。ちなみに氷室の節句とは、旧暦の6月1日に氷室から氷を切り出して贈答するという、涼しげな行事◆高温多湿の日本、過ごしやすい春からすがすがしい初夏を過ぎ、梅雨時期を経て蒸し暑い夏に至る前に、なんとか体に力をつけようと考えた古人の知恵が、風情あるお菓子として結晶したのだろうか◆洋菓子ももちろん好きだが、幼い頃から香ばしい皮と甘く柔らかい求肥のハーモニーが楽しめる鮎菓子、粒あんのたっぷり詰まった太鼓焼(太閤焼とも)、当日高地方にゆかりの深いつりがね饅頭などの和菓子が大好きだった。これからの季節、透明感が涼しそうな葛餅やわらび餅、つるんとしたのど越しが嬉しい水ようかんなどが楽しめる◆バレンタインデーのチョコレートや真夏のアイスクリーム、クリスマスのデコレーションケーキなど洋菓子にももちろん季節感は十分あるが、和菓子のきめ細やかな季節感は、その姿を目にして名前の風情を味わうだけでも心を楽しませてくれる◆伝統の味だけでなく、近年はいろんな創作和菓子が各店ごとに生み出されている。巡ってみれば、季節感と土地柄を味わう楽しみを手に入れられそうだ。(里)