うっとうしい空模様が続き、気分も重たくなりがちな梅雨時期を彩ってくれる花々がある。御坊市や周辺でも楽しめるアジサイ、花ショウブ、それにハスだ◆まずは梅雨の代表的な花、アジサイ。昔は水色か薄いピンク、薄紫、白の花ぐらいしかなかったと思うが、近年の品種の増え方は目覚ましく、3000種以上。当地方にも幾つかの名所があり、それぞれに見応えがある。筆者は梅雨の晴れ間の青空のように爽やかな、山アジサイが特に好きだ◆5月頃から長く楽しめる、花ショウブ。栽培歴47年になる御坊市の片岡やゑ子さん宅で、今年も極めて希少な品種「宇宙(おおぞら)」の開花を取材させていただいた。江戸後期の旗本、「菖翁(しょうおう)」と呼ばれた松平定朝が天保年間(1830~44)に作出した花。2023年に初の開花を取材、以来毎年1輪の開花が続いていたが、今年は初めて3つの蕾を持ち、うち2輪が同時に咲いた。澄んだ青紫色に白と黄色の条が「宇宙」を思わせる。今年は色調がやや明るく、2つ仲良く並んだ様子がなんとも愛らしく見えた。片岡さんは「花のまち御坊、頑張っていい花を咲かせたいですね」と話した◆ハスは、当日高地方では二千年蓮といわれる大賀ハス、御坊市生まれの舞妃蓮等が楽しめる。大賀一郎博士が2000年前の地層から発見された種の開花に成功した大賀ハス。鮮やかな紅色の花が咲く。御坊市の故阪本祐二さんが1966年に作出した舞妃蓮は当時の皇太子妃殿下、美智子上皇后さまにちなんで名付けられた花。清楚な白い花を咲かせる◆雨の季節を彩る美しい花々。その美しさはそれぞれの姿の奥に、関わってきた人々の思いが今も息づいているからかもしれない。(里)