仕込みなしのブルースセッションをするときは、過去に聴いて記憶の引き出しに入っているフレーズを繋ぎ合わせれば格好がつく、と、あるギター弾きが教えてくれた。ただし、8小節を超えるほども長く1つのフレーズばかり使い続けると、オリジナリティーのない単なるコピーになってしまうので要注意、とも。なるほど。今までにない全く初めてのメロディーを即興で生み出すのは、天才作曲家でもない限り至難の業だが、知っているフレーズを自分なりに切り張りして繋げれば、それは、その人がつくった新しいメロディーになる。

 今、私たちの日常にどんどん入り込んできているAI。それが巷にあふれるデータを再構築して何かをつくり出す工程は、ブルースセッションにみる引き出しのフレーズの切り張りにちょっと似ている。決して新しいものを創造しているのではなくて、既存のものを集めて別のものに組み替え、新しいものとして仕上げるプロセスは同じだ。

 AIが材料として使うデータの量は、人間の引き出しに入る量とは全く比べ物にならないほど膨大だから、ブルースセッションだって人間よりずっと上手いかも。そう思って、ChatGPTに「ブルースを演奏して」と頼んでみた。ら、コードとギターリフと歌詞が文字で出てきた。「音は奏でられないの?」と聞くと、「このチャットでは実際に音楽を再生することはできません」との回答。

 さすがにAIにも演奏はできないんだな、まだ人間のほうが上だね。と、ホッとしたのもつかの間、調べたら、ChatGPTには無理だけど、他に、楽器の音を生成できるAIはいろいろあった。やはりAIで何でもできてしまうのか。(亜)