印南町西ノ地、熊野九十九王子の一つ、切目王子神社で21日、印南町文化協会短歌クラブ(山西啓子代表)の歌会が開かれた。鎌倉時代初期(1200年頃)に後鳥羽上皇の熊野参詣に同行した歌人たちが、切目王子で開いた歌会でしたためた「切目懐紙(きりめかいし)」が国宝に指定されており、まさに歌会の聖地の一つ。メンバー10人が歴史に思いを馳せ、20首を詠んだ。

切目神社は、第10代崇神天皇の頃に創建とされ、非常に古い歴史を持つ。後鳥羽上皇が熊野詣の途中、同神社の御所御殿に泊まった際に歌会を催し、お供の11人が懐紙に11首の和歌をしたためたのが「切目懐紙」として国宝に指定されている。現在は京都西本願寺が所蔵しており、同神社には写しが巻物となって残されている。
短歌クラブは2カ月に1回、公民館で例会を開いており、同神社の歴史を学ぶ「うらしま会」の寺下鎮雄さん(80)から声をかけてもらったのが縁でおととし秋に初めて同神社で開催。今回が2回目で、神社入り口の長床で開かれた。
普段の例会はテーマを決めない自由詠だが、今回は切目神社にちなんだ題詠で開催。先月には寺下さんから歴史について事前学習し、メンバーが一人2首ずつしたためた歌を提出し、山西代表が1首ずつ読み上げて披露。一人3首を投票し、鈴木薫さん(日高町)の「古(いにしえ)の数多(あまた)の貴人訪れしこの地切目は歴史の宝庫」、「奥深き切目の歴史学ぶほど語り継ぐ人宝と思ふ」の2首がともに最高の4票を獲得した。「神々の系譜に連なる名の中に幼に読みし神話が目覚む」(山西啓子)、「語り継ぎ切目の歴史残さむと熱き心に燃ゆる人在り」(脇谷郁子)、「古来より数多名を馳す切目地を今学べしはうれしさの満つ」(辻さとみ)なども3票と高得点だった。
参加者は1首ずつ、歌に込めた思いを発表し合い、神社の歴史や寺下さんらの熱い思いに感激した気持ちを口にしていた。メンバーは「かつて後鳥羽上皇一行が歌を詠まれた場所で歌を詠めて、ロマンを感じる」などと話し、山西代表は「歴史を感じるし、歌もうまくなったような気がします。また開催したい」と笑顔で話していた。


