初夏の風物詩として親しまれているホタルが飛び交う季節となった。日高川町玄子はホタルの名所として知られ、地区内を流れる中津川では今、見頃のピークを迎えている。幻想的な光を放ちながら舞うホタルの姿があちこちで見られ、静寂の中に浮かび上がる光景は神秘的で、時を忘れて見入ってしまうほど▼玄子に住む元日高川町長の玉置俊久さん(76)によると、かつて河川環境の変化で一時はホタルが激減したことがあったという。その後、地元の河川愛護会が毎年、川沿いの草刈りを続けるなど、地道な保全活動が行われているほか、区民全員参加の「玄子のホタルを守る会」も発足。川辺の自然環境の改善に努めるなど地域ぐるみの取り組みが続けられている。こうした努力が現在のホタルの乱舞につながっているといえるだろう▼筆者の実家近くにも小さな川が流れ、幼い頃にはホタルが飛び交う光景がみられた。時には家の中に入り込んでくることもあったが、今ではその姿を見ることはほとんどなくなってしまった。原因ははっきり分からないが、おそらく川の環境が変化したためだろう▼変化はホタルだけではない。川に生息する魚もこの数十年で大きく変わった。かつては数多く見られたフナなどの姿はほとんど見かけなくなり、アユの遡上も大幅に減っているようだ。インターネットなどで調べてみると、川魚の減少は全国的にも問題となっているという▼ホタルの幼虫が育つためにはきれいな川が必要で、エサとなるカワニナが生息できる環境でなければならない。幻想的に輝くホタルの光は人々の心に癒やしを与えるだけでなく、その地域の豊かな自然環境を映しているのだろう。(雄)


