先日、相方と切り盛りしている音楽スタジオ「SSstudio」に、年配の男性3人組がバンド練習にいらっしゃった。最初のうちはみなさん、持参したギターやベースをおのおの遠慮気味に鳴らされていたが、そのうちにエンジンがかかってくると、ビートルズなど懐かしの名曲で音を合わされた。伺うと、一緒に演奏されたのは50年ぶりだそう。「みなさん、70代くらいで?」と尋ねると「いやいや、まだ69ですよ」と笑いながら返してこられた。

 昔、若い頃にガッツリと弾き込んでおられたのだろう、長いブランクを経てお歳を召されてもなお、いい音を響かせておられた。「わびさびの世界や」と、みなさん。はじける若さを失くした代わりに渋さを醸し出されていて、とてもかっこよかった。

 SSにいらっしゃるバンドマンの年代は幅広いが、結構、仕事や結婚、子育てなどで一度は楽器を離れたという方が多い。忙しい毎日が一段落したとき、空いた時間にまたやりたい気持ちがわいて、押し入れの奥のギターを引っ張り出してきた、という具合に。

 昔取った杵柄とはよく言ったもので、楽器も、若い頃に身に付けたことはよく覚えている。長く触っていなくても、弾いているうちに昔覚えたフレーズがふと出てきて、動かす体の感覚も蘇ってくる。そうしてちょっと弾けてくるとまたうれしくて、楽器を触る時間が増え、少しずつ昔弾けた頃の音が戻ってくる。

 何歳になっても楽しめるのが楽器のいいところ。ちなみに相方も私も、昔楽器をやっていて、長く空けたのちにまた弾き始めた類。ともに50代、先日のみなさんのようなわびさびの音を出せるまでには、まだ時間がかかりそう。 (亜)