しょうゆ発祥の地として知られる湯浅町の湯浅醤油有限会社は今秋、米国のロケット「ファルコン9」で、しょうゆの麹菌を宇宙へ打ち上げる世界初の取り組みに挑む。宇宙空間を旅した麹菌の変化を調べるとともに、しょうゆを仕込むという。

 同社の新古敏朗代表は「宇宙時代の日本の食文化のために、誰かがやらなければならない」と思いを語る。宇宙開発というと、ロケットや人工衛星、最先端技術ばかりに目が向きがちだが、人が宇宙で暮らす時代になれば、「何を食べるか」も欠かせないテーマになる。日本人にとって身近なしょうゆを宇宙へ持っていく発想は、いずれ必ずくることだろう。

 「単純に宇宙に行った麹菌で作ったしょうゆを一度味わってみたいというのもあるんですけど」と笑顔を見せる新古代表。今回は積載量や宇宙での作業の関係で麹菌だけだが、いずれは宇宙でしょうゆを仕込んだり、月面でしょうゆ作りを目指したりと、熱い思いを抱いている。

 世界では宇宙開発が急速に進み、米国では年間200回規模でロケットが打ち上げられる時代になった。和歌山でも民間ロケット「カイロス」が打ち上げられ、本紙紙面を大いににぎわせた。以前なら「宇宙」はテレビの向こう側の話だったが、今は県内からロケットが飛び立つ時代。そこへ、しょうゆという地域産業まで結びつき始めている。

 宇宙というと壮大すぎて現実感が薄いが、ロケットの打ち上げ、宇宙関連産業、そして宇宙食文化と、少しずつ私たちの暮らしに近い話題になってきた。これから先、宇宙やロケットに関するニュースがさらに紙面をにぎわせるのだろうと思うと、今後の取材が楽しみになる。(城)