第16代仁徳天皇は、高い山に登って四方を見渡し、「国中に炊煙が立ち上っていない。皆貧しいのだろう。今から三年間、民の課(朝廷に納める品物)と役(労使)を免除しよう」といわれた。そのために宮殿は雨漏りするようになったが、全く修理することもなく倹約に努めたという。やがて再び高い山から国を見ると、煙が満ちていて、人民が豊かになったとようやく課と役を課されたといわれ、仁徳天皇の御世をたたえて聖の帝の世という。有名な逸話であり、誰もがお手本にしたいリーダー像である。

 民はそんな帝を敬愛し、宮殿の修繕に率先して参加したとも伝わる。日本書紀の記述には、仁徳天皇は百姓や国民を「おおみたから(大御宝)」と読まれており、最も大切なのは民だということが伝わってくる。世界遺産でもある日本最大の前方後円墳の仁徳天皇陵は建造当時、民に仕事を与える公共工事だったともいわれる。苦しい時はお互いさま、他者を思いやる日本人の心は古代から連綿と受け継がれてきたのだろう、先祖の方々を誇りに思う。

 物価高はとどまる気配はなく、緊張感高まる国際情勢の影響でさらに混沌とする世の中。国会では衆院選の公約だった食料品の消費税率を2年間ゼロにする議論が始まっているが、予算確保やシステム改修などでそうすぐにできるものではなさそう。それにしても国政各党はそれぞれの主張をするのはいいが、国民のためになることは一致団結して話をもっと早く進められないものか。足の引っ張り合いをしているように見えるのは筆者だけだろうか。仁徳天皇のようにはいかないが、今の時代は特にスピード感が求められている。(片)