桜の花も少し散り始め、気候も寒暖差はあるものの昼間は汗ばむほどの陽気となる日もあり、春の訪れを体いっぱいに感じられるようになった。新年度が始まり、取材先にも真新しいスーツ姿の新入社員、職員の姿がみられ、29年前の自分と重なり、こちらも少し気が引き締まる。緊張しているだろうな、人の名前と顔を覚えるので精いっぱいだろうな、勝手にそんなことを想像するとほっこりもする。心の中で「頑張って」とエールを送りつつ、数年もすればバリバリ働く人材に育っているのだろうと期待も膨らむ。いろんな思いが交差する春である。

 退職代行サービス業者に、入社初日の昼休みに辞めたいと連絡が来たとネットニュースが配信されているのが目に留まった。思っていた職場環境ではなかったのか、対人関係で無理だと感じたのか、理由はその人にしか分からないが、何だか胸が痛い。仕事にしろ私生活にしろ、大なり小なりいろんな場面があり、その度に選択と決断が必要になる。今回辞めると選択したが、この先何度もあるであろう選択と決断でいい仕事、いい生活にたどり着くことを心から願いたい。

 職場の先輩側からも気を使うという声がある。今はすぐにハラスメントといわれるご時世のため、新人の指導に神経を使うのだという。「こんな言葉のかけ方はダメ」とかいう人もいるが、結局のところ人と人は信頼関係で成り立つもの。その多くは数日で出来上がるものではない。時間をかけてじっくり、互いがどんな人間なのかを理解していく。どれだけネットの時代になっても、表情、雰囲気を感じながらコミュニケーションすることを大切にしてほしい。(片)