先日、美浜町三尾で開かれた、NPО法人日ノ岬・アメリカ村の語り部ジュニア4期生活動報告会を取材した。筆者の地元でもある和歌山県美浜町には、カナダとの交流の長い歴史がある◆1888年頃、カナダに渡った同町三尾出身の工野儀兵衛が「フレーザー河に鮭が湧く」と郷里に手紙を書いて皆に渡航を呼びかけ、それに応じて多くの人が海を越えた。三尾は「アメリカ村」と呼ばれるようになり、ゆかりのある日系カナダ人は約5000人といわれる◆美浜町ではカナダとの交流事業が盛んに行われ、NPО法人日ノ岬・アメリカ村は小中高校生の「語り部ジュニア」を育成。国内外の人々にアメリカ村の歴史を紹介するのが仕事だ。2025年度はカナダの日系人、京都外国語大学等の学生を案内したほか、カナダの同世代の若者とオンラインで交流も行った。そして今年1月には、実際にカナダを訪れての研修が行われた◆報告会で、語り部ジュニアたちは「英語は発音や区切る場所など、工夫が必要」と、海外の人と英語でコミュニケーションを取る際の苦労を具体的に話してくれたほか、日系カナダ人らとの出会い、自分の英語で意思を通じさせられた喜び、これをきっかけに地元の歴史を詳しく知ることができた意義などについて語り、「歴史を学ぶことは今を学ぶこと」と述べたジュニアもいた。「語り部にふさわしい言葉は一期一会」との言葉もあり、印象的だった◆カナダ移民の歴史についてだけではなく、同世代の日系人と好きな音楽やアニメについて語り合うなど、交流の幅は広がっているようだ。世界に国は196カ国。特に深い縁のある国を持つのは、とても幸福なことだと思う。(里)