和歌山高専の学生が、野球の「データ分析」に挑んでいる。電気情報工学科4年の3人がチームを組み、投球や打球の角度、速度といったトラッキングデータを用いて、プレー改善や戦略を導き出す競技会の決勝に進出した。高専としては初の快挙。大学・大学院生が中心の舞台に名を連ねた。

 今競技会のテーマは、大谷翔平選手の長打力向上。MLB公式のデータ分析サイト「ベースボール・サバント」を活用し、それぞれの角度で長打力向上プランを提案するもの。3人は1000を超えるスイングや打撃データを地道に入力して分析し、着目したのは、打撃成績の裏にある「調子の波」。スイング速度や空振り率などから算出した独自の調子スコアと、実際の打撃結果を突き合わせ、成績低下の前兆を捉えようとした。

 その結果、調子スコアが下がった後に長打率などの指標も低下する傾向を見いだした。好調時と不調時で狙いを切り替える打撃アプローチを提案。長打を狙う場面と無理をしない場面をデータで見極める考え方は、経験や感覚に頼りがちな打撃論に新たな視点を投げかける。

 野球データ分析といえば米国が先行している印象が強い。だが、データ取得の環境そのものを見れば、日本もホークアイのトラッキングシステムを導入するなどMLBと肩を並べる水準にあるという。一方で、専門的なデータ分析アナリストの人材不足が課題とされる。若い世代の柔軟な発想が、日本野球におけるデータ活用の裾野を広げていくことに期待がかかる。競技力向上はもちろん、理工系人材がスポーツの現場に今後どのように関わっていくのかも注目したい。(城)