毎年5回、御坊市民文化会館で開かれる市民教養講座。本年度最終回の講師は宇宙飛行士の毛利衛さん。「宇宙からの贈りもの」をテーマに語った◆幼い頃には、実際には人類がどこまで宇宙に進出しているかなどあまり考えず、フィクションの中の宇宙を楽しんでいた。子ども向けの文学全集に入っていたウェルズの「宇宙戦争」に始まり、アニメ「銀河鉄道999」や「機動戦士ガンダム」等々、宇宙は物語の壮大な舞台であった◆「地球は青かった」という、1961年に初めて宇宙空間から地球を見たガガーリンの言葉に感動して宇宙飛行士を目指した毛利さん。実際に宇宙空間へ行き、そこから見た地球は「暗い宇宙空間の中で、青く、白く、輝いていた」という。途方もない広さの宇宙の中で、ポツンと浮かぶ一つの地球がそんなにも美しく、その上で膨大な数の命がひしめき合うように生きていることを思うと、不思議な気がする。その次元の視点を得たからこそ、「どうやって地球をあるべき姿に戻すか」を知るために、「もっともっと地球について知る必要がある」と、毛利さんは言われた◆この大切な、唯一無二の地球を未来にまで守り届けるために発揮すべき知恵が「未来智」。人間以外の生命に依存しながら生きている、この地球全体のバランスを正しく見る視点で、地球の未来を考えていく。そのためにも、大事なのは一人一人が「生きる喜び」を実感すること。一人一人が自分の生命を最大限に輝かせることが、地球の輝きを未来へと保つ鍵になる◆大好きな萩尾望都の漫画「マージナル」で、登場人物が宇宙空間から初めて地球の全貌を眺め「青い星――何かの祈りの結晶のようだ」と呟いたのを思い出した。(里)