賞状を手に笑顔の森本さん

 南紀短歌連盟主催、田辺市20周年記念、第42回南紀短歌大会が紀南文化会館で開かれ、はまゆう短歌会の森本香代子さん(77)=美浜町吉原=が最高の知事賞を受賞。御坊短歌会の佐々木ゆかりさん(62)=御坊市湯川町財部=、はまゆう短歌会の鈴木幸代さん(69)=日高町小坂=も入選となった。

 森本さんは1994年から短歌を始め、翌年この大会で田辺市長賞を受賞。以後入選はあったが、大きな賞を受けるのはその時以来という。受賞作品は「社名消し野良着となりし夫の服油の染みのうすれゆきたり」。石油会社に長年勤務していた夫が定年退職を迎え、現場で使っていた作業服から胸の社名を消して畑仕事に使っていたが、洗濯を繰り返すうち沁み込んでいた油のしみも薄れてきたことから、時の流れに夫の人生を思って詠んだ。選者は川野里子、江戸雪、井谷まさみちの3氏で、森本さんの作品は川野里子氏から特選、井谷まさみち氏から入選に選ばれた。

 「単身赴任で、千葉県など遠方で長年勤務していました。作業着はしっかりした、いい生地のものです。社名をつけたまま使い続けるわけにはいかないと消して畑で着ていました。『短歌を通じてご主人の人生観が伝わってくる』と評価していただきました。こんなにいい賞を頂けるとは思っていなかったので驚きました。うれしいです」と喜んでいる。

 佐々木さんと鈴木さんはいずれも川野氏から入選に選ばれ、作品は、佐々木さんは「ある晴れた日の海面(うみづら)にカムチャツカヨリ襲来ノ波アリと聞く」、鈴木さんは「薔薇といふ文字を拡大かくだいしやうやく書きぬ家建つる如」。