仕事始めの日、新年のごあいさつに、藪内美浜町長が着物姿で当編集部に来られた。藪内町長はこまめに着物を召されるが、仕事始めの着物は毎年の恒例だそう。町長が慕う先輩から譲り受けたという紺地の雪模様の小紋に、馬の柄がついた帯。午年の新年にぴったりのコーディネートで、とても素敵だった。

 わたしもきものが大好き。だからお正月、マスターと営んでいるSSstudioで、きものを着た。白と黒の丸い大きな菊の花が飛んだ臙脂の小紋に、鼠色の荒磯文様の名古屋帯。

 荒磯文様は、鯉が波間を力強く跳ねる様子を描いた吉祥柄で、激しい急流を登りきった鯉だけが「竜門」をくぐって天に昇り龍になるという「登竜門」の故事にちなんで、立身出世や生命力、目標達成、困難克服の象徴とされている。そんな力強い意味のこもった荒磯文様の帯を締めると、今年も頑張っていきますよ!と士気が高まる。

 次の日も、きもの。この日は、母からもらった白の雪輪が浮かぶピンクの結城紬に、昇り龍が躍る黒の染の名古屋帯を合わせた。昇り龍のこの帯は一見、極道の妻や怖い姉御を連想させるけれど、龍が勢いよく天へ昇る姿から、運気上昇のとても縁起の良い意味を持つ。先述の「登竜門」の故事にも由来し、困難を乗り越えて成功するという意味が込められている。この昇り龍の帯を締めたらまた、今年もやるぜ!とヤル気がわく。

 きものや帯の柄に、季節感や願いが込められているのが、和服の奥深いところ。また、先輩から後輩へ、母から娘へと、譲り受け継がれる風習も好き。きものに込められた思いを感じながら着付けしていく工程は、味わいがあってよい。(亜)