沖縄県の南大東島には、無数の自然の洞窟への入り口がある。約3年前、水中探検家やプロのダイバーら国際専門家チームの調査が始まり、2年前、地下に広がっている巨大な水中洞窟を発見した。
透明度の高さや神秘的な光景は、メキシコのセノーテ、バハマのブルー・ホールに匹敵するという。誰も気づかぬゆっくりとした変化が、気の遠くなるほどの年月をかけて繰り返され、地下に息をのむような美しい世界をつくりあげた。
昭和が始まって100年、戦後80年の節目の今年、本紙は1年間の連載を企画し、各記者が独自の視点で日高地方の出来事を振り返った。恐慌とともに始まった昭和は、戦争、災害など苦難の連続だったが、国家の復興、経済成長とともに地域を発展させてきた。
人の時間感覚は日常の動きに合わせ、24時間のリズムを365回繰り返して1年。この個人の視点では、世界全体の変化はとらえにくい。南大東島の人々が足下の水中鍾乳洞の存在を知らなかったように、日本人は再び極限まで高まっている地殻の緊張に気づいていないのかも。
ロシアとウクライナの戦争は終わらず、戦後80年で築き上げた自由と民主主義、反戦・平和の秩序が揺らいでいる。日本は憲政史上初の女性総理が誕生したが、高い支持率の一方、世論の分断、与野党の対立が激しくなっている。
「こんなことやってる場合やないやろ」。この1年、政治のニュースに何度つぶやいたことか。年の瀬、先祖の墓に手を合わせながら、平和を願う気持ちはかつてなく強くなっている。読者の皆さまはどんな1年だったでしょうか。
日高新報はきょうが納刊です。今年もご愛読ありがとうございました。(静)


