
12月は忘年会のシーズン。今月のテーマは、「宴」とします。
坊っちゃん(夏目漱石著、新潮文庫)
文豪漱石の最も有名な作品。明治期、江戸っ子の「坊っちゃん」が四国の田舎で、いたずら者の中学生や曲者ぞろいの教師たちを相手に奮闘します。うらなり先生の送別会の様子です。
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縁側をどたばた云わして、二人ばかりよろよろしながら馳け出してきた。「両君そりゃひどい、逃げるなんて、―僕が居るうちは決して逃がさない」(略)実はこの両人共便所に来たのだが、酔ってるもんだから、便所へはいるのを忘れておれ等を引っ張るのだろう。(略)お座敷はこちら?と芸者が三四人入ってきた。(略)座敷中急に陽気になって、一同が鬨(とき)の声を揚げて歓迎したのかと思うくらい騒々しい。そうしてある奴はなんこを掴む。(略)こっちでは拳を打ってる。よっ、はっ、と夢中で両手を振るところは、ダーク一座の操り人形よりよっぽど上手だ。向こうの隅ではおいお酌だ、と徳利を振ってみて、酒だ酒だと言い直している。どうもやかましくて騒々しくってたまらない。


