先日、仕事帰りに人気のセルフの外食チェーン店へ行った。夕食には少し遅い時間だったせいか、自分以外にほとんど客はおらず、「お好きなところへどうぞ」の状態だった。
物価高騰、上がらぬ所得、ショボいおこめ券など、世の中と自分に対する怒りは高まっており、それに比例して無料サービスのトッピングも、ひとつかみの量が多くなっている気がした。
店員さんが拭いてくれたばかりのカウンター席に座る。メインのメニューは過剰なトッピングに埋もれてその姿が見えない。おしぼりも冷たい水も用意した。両隣は端まで誰もいない。久々の1人外食、ここまでは完璧な流れだった。
「ハフハフ、ズズ…熱っ…ズルズル…」。スマホのニュースを見るともなし眺めつつ、半分近く食べ進んだとき、突然、隣にまぁまぁの勢いでトレーが置かれた。「え、なんで?」。驚いてちらっと顔を見たが、まったく知らない女性だった。
こんなに席が空いてるのに、YOUは何しに私の隣へ? まさかの事態に動揺を必死に押し殺す。しかし、どう考えても距離感がおかしい。隣とはいえ、軽く体が触れるほどで、思わず自分の椅子とトレーをずらした。女性は何もいわず食事を始めた。
30秒、1分、2分…頭の中で「?」が点滅する。もう一度横顔を見たが、やはり見覚えはない。別段、抗議するほど迷惑な話でもなく、残りを急いでかきこみ、席を立とうとしたとき、女性が「え、何?」と声を上げ、離れた席の友人らしき人の方へ移動した。
どうやら、一緒に来た人と私を間違えていたらしい。見知らぬあなたも残業で疲れていたのでしょうか。ちょっとドキドキさせてもらいました。(静)


