「知恵の神様」として知られる田辺市湊の蟻通(ありとおし)神社に、今年も合格祈願の大絵馬が奉納された。例年、高校生の書道部と美術部が手掛けており、今年の絵を担当したのは田辺高校美術部2年で印南町の田端莉子さん。来年の干支・午を力強く描き、参拝者の背中を押すような一枚に仕上げた。

蟻通神社に奉納された大絵馬と田端さん

 同神社には、古くから「蟻通し」の物語が伝わる。外国の使者がほら貝に糸を通せと迫った際、若い神が貝に蜜を流し込み、蜜を追う蟻に糸を結んで貝へ入れた。蟻は複雑な穴をすり抜け、糸は貝を貫通。驚いた使者は退散し、神の知恵に人々は感嘆した。この逸話から「知恵の神」として信仰を集め、受験生が多く訪れる場所となっている。

 大絵馬は美術部が絵を、書道部が文字を入れるのが恒例で、田端さんは自ら手を上げて制作に挑んだ。

 描いたのは、目標へ駆ける馬の姿。前足を背景の雲より手前に出し、絵馬から飛び出すような躍動感を演出した。背景の空は暖色でまとめ、「冬に訪れる受験生の心が少しでも温まるように」と色選びにも工夫を込めた。

 「夏休みに夢中で描いた作品を多くの人に見てもらえるのはうれしいです」と笑顔を見せる。絵馬に収める馬の形に最も苦労し、足の長さや太さを塗り重ねながら試行錯誤したという。「参拝される方が、馬のように目標へ駆け抜ける勇気を感じてくれれば」と思いを語る。来年は自身も受験生。「しっかり勉強して志望校をつかみたい」と気持ちを引き締めている。