「私と彼は友人です。一緒に食事もするしゴルフもする。しかし、彼から何か頼まれたこともなければ彼のために便宜を図ったこともない」。そう国会答弁で答えた安倍晋三総理。彼とは加計学園の加計孝太郎氏である。しかしその国会答弁は虚偽であったことを暴露したのが本著である。第二回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞受賞作。

 加計学園は孝太郎氏の父の勉(つとむ)が設立した広島英数学館が始まりである。その後、工業高校や予備校、そして岡山理科大学他、四大学を設立している。

 ではなぜ加計一族がこうも学校を設立するのか。それはビジネスとして美味しいからである。その後孝太郎氏が目をつけたのが獣医学部の設立であった。近年、少子化が進む中、どの大学も学生の獲得に苦慮している。日本の私立大学の四五%が定員割れ。しかし獣医学部は十五倍もの競争率がある。岡山理科大学のオープンキャンパスで配られたチラシには入学金二十二万円、授業料百五十万円、実習費二十八万円、施設整備費五十万円の合計二百五十万円。定員百六十名だから初年度だけでも四億円が大学の収入となる。獣医学部は六年制なので最終年度まで学生が埋まれば年間十九億四千八百八十万円、トータルでざっと二十三億円が大学に転がり込む。ここに目を付け構造改革特区制度を使い今治市に獣医学部の計画を持ち掛けたのである。この計画に安倍総理も加計孝太郎氏の友人として働きかけたのではないか?

 安倍氏と加計孝太郎氏の出会いは南カリフォルニア大学での留学、四十年来の友人となった。二人は河口湖畔に別荘を持ち家族ぐるみの付き合いをしている。しかし安倍氏の国会答弁にもほころびが見え始める。

 加計学園問題の国会閉会審査中、安倍氏はのらりくらりと追及をかわしてきた。「文書は破棄した」「記憶にない」等である。安倍氏は構造改革特区推進本部長であった。安倍氏が本部長の任についたとき、どのような事業者が特区申請をしているか、知らない方がおかしいのである。また申請のあった今治市の獣医学部新キャンパスには市民グループにより設計図が公にされ、そこにはワインセラーやビールサーバーを備えたVIPラウンジまであった。その建設費用は通常の二倍であり、百九十二億円のうち九十六億円が愛媛県と今治市の税金で賄われるという。検証が必要だと著者は述べている。(秀)