今年のノーベル賞が決まり、日本人が相次いで受賞した。生理学・医学賞には、大阪大学特任教授の坂口志文氏(74)。免疫の暴走を抑える「制御性T細胞」を発見し、医学の進歩に欠かせない業績として評価された。化学賞には京都大学特別教授の北川進氏(74)。分子レベルで自在に構造を設計できる「金属有機構造体」の開発で、環境技術やエネルギー分野にも影響を与える革新的な成果だという。

 この2人の受賞により、日本のノーベル賞受賞者は個人・団体合わせて30人と1団体に。国別の獲得数では米国、英国、ドイツ、フランスに次いで世界第5位。小さな島国ながら世界に誇れることの一つと言ってもいいだろう。

 注目すべきは受賞者の言葉。北川氏は会見で「幸運は準備された心に宿る」というルイ・パスツールの名言を引用し、偶然や運が成功をもたらすのではなく、事前の準備や努力の重要性を話した。座右の銘は荘子の「無用の用」。一見、役に立たないと思われるものが、見方を変えることで極めて重要な価値を持ち得るという意味で、固定観念にとらわれないものの見方が大切だということだ。学力や知識のほか、こうした考えを常に実践したからこそ受賞につながったのだろう。

 そして、忘れてはならないのが周囲からの支え。坂口氏、北川氏ともに家族や仲間からの支えを口にした。ノーベル賞に関わらず、どんな賞を受けた人も「周りの人たちのおかげ」という言葉を必ず言う。その言葉は決して謙遜している訳ではない。何かを成し遂げるには他の人からの支えは欠かせない。それは一流の世界になればなるほど必要なのかもしれない。(雄)