高齢化社会が進む中で、高齢者の5人に1人が認知症と推計されている。近年問題になっている「老々介護」で介護する側が認知症になる、また80代の親が50代の子どもを経済的に支えるいわゆる「8050問題」でその親が認知症になる。こういった深刻な状況もさらに増えており、認知症の対応は家族だけの問題ではなく、地域全体で支えていく体制づくりが必要。まずは地域住民の認知症への理解が一層進むことが課題と言える。

 認知症の人とともに築く総活躍のまち条例の制定など、先進的な認知症の取り組みを行う御坊市では新たに「本人の声に耳を傾けようプロジェクト」をスタート。市内の介護施設や家庭での認知症の人の何気ない日常の一言を職員や家族から募集し、これまで400近い一言が寄せられている。社会面でも紹介させてもらったが、「挑戦したいんや」「人間は難しいよ」「阪神負けたら、メシうまない」など、聞いた側がドキッとしたり、クスっと思わず笑みがこぼれたり、時には勇気づけられる一言がずらり。一部はホームページでも紹介されており、こういう表現は適切かどうか分からないが、市内園児の一言をまとめた冊子「つぶやき」と同じような感覚で楽しく読ませてもらえ、なんだかほっこりするような、やさしい気持ちにさせてくれる。

 先日、認知症映画のモデルとなった丹野智文さん(宮城県出身)から、その映画を観賞した御坊市職員にビデオメッセージが届けられ、「認知症になってもよいと思えるぐらい」認知症の人が明るく、楽しく暮らせるまちづくりに期待を込めていた。丹野さんの言葉をそのままお借りしつつ、総活躍のまちの実現を願う。(吉)