
「国宝」の御坊での上映も好評で、特に昼の上映回は連日多くの人が鑑賞。今月のテーマは「歌舞伎」です。
「勘三郎、荒ぶる」(小松成美著、幻冬舎文庫)
2012年に57歳の若さで惜しまれつつ他界した名優・十八代目中村勘三郎に、五代目勘九郎からの襲名前後の濃密な日々に密着して書き上げた渾身の一冊。
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「肚だな、肚。役者は肚から演じて、その人間になりきっていくしかない」
沈黙を破った勘九郎は、そう言いながら手のひらで浴衣の上から胸と肚とを撫でさすった。肚とは、心よりも大きい感情の容れ物だ。(略)
「たとえば爺ぃになるときには、爺ぃの肚を持つということだ。貧しく無学だが、信義のためなら命を捨てることだってできる爺ぃの生涯を生きる、と覚悟する」(略)
「よく『一カ月同じ演目をやって飽きないですか』と聞かれますが、とんでもない話で、日々まったく違う喜びがある」
毎日感じる喜びは、その場に居合わせた観客と共有するのだ。


