9月18日は、太平洋戦争につながる満州事変の発端、柳条湖事件が1931年に発生した日。それを知ったのは、浄土真宗本願寺派和歌山教区御坊組の行事「平和の鐘のつどい」を取材したことからだった◆東京の国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で毎年9月18日、浄土真宗本願寺派が全戦没者の追悼法要を行っているという。この墓苑には、海外で戦没した身元不明の方々の遺骨約37万1000柱(今年7月末現在)が安置されている◆太平洋戦争の日本の犠牲者は約310万人、そのうち海外で亡くなったのは約240万人。遺骨が収集されたのは127万7000人、未収骨は112万3000人であるという。海に沈んだ遺骨、国と国との関係が複雑なために収集が難しい遺骨もあり、収集は進んでいない◆遥か異国の地で戦没した方々を思う時、思い起こされたのは戦後間もない頃、子どもたちのために書かれた竹山道雄著「ビルマの竪琴」。ビルマ(現ミャンマー)で戦った水島上等兵は各地で放置されている戦死者の遺体をそのままにして帰国することができず、僧としてその地にとどまり、おびただしい遺体を弔い続ける◆この物語は実話ではない。しかし、単に事実をつづることとは別次元の深い意義がある。著者は一高(東大の前身)で教授を務めており、多くの教え子を海の向こうの戦場で亡くした。故国を遠く離れた地で心ならずも亡くなった人達の魂を、誰かが救い守り続けてくれている。そうした存在を願う、祈りの結晶のような物語である◆海外の戦没者の数も、9月18日が満州事変の発端の日であることも、今回の取材で初めて知った。戦後80年を過ぎた今なお、知るべきことは数限りなくあると、心に刻んだ。(里)

