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映画「国宝」の上映が、御坊でも行われています。9月のテーマは「歌舞伎」とします。
「歌舞伎 ちょっといい話」(戸板康二著、岩波現代文庫)
戦後の歌舞伎批評の基準を確立したといわれる戸板康二。本書は昭和末期から平成にかけての歌舞伎座での毎月の演目、出演俳優にちなんだ興味深いエピソードの数々。歌舞伎座での「筋書」に連載された読み物です。
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「娘道成寺」を見た西欧の観客は、衣裳の引き抜きにびっくりするらしい。この手法は、おどっている女形のうしろに後見がピッタリついて、同じ呼吸で動きながら糸を抜くという高度の技術によって支えられている。(略)和歌山県の御坊の駅から道成寺まで歩いてゆく道は、なんとなく胸がときめくものだ。(略)
駅で下車して、道成寺まで行った時、街道を左折して石段にたどりつき、ゆっくり登ってゆく心持ちが、浮き浮きとして、じつにたのしかった。本堂で住職に挨拶した時、その感想を申し上げたら、こういわれた。「それはそうでしょう。道行はどなたがなさっても、いいものです」


