2011年3月11日の東日本大震災から14年を迎えた。日本観測史上最大のマグニチュード9・0を記録し、震度7の大きな揺れだった。巨大津波が東北地方を襲い、福島原発もメルトダウンした。死者1万9747人、行方不明者2556人の犠牲者を出し、甚大な被害が発生した。今も廃炉や除去土壌の処分といった課題が残り、まさに今までに経験したことのない未曾有の災害といえるだろう▼筆者もこの日のことは今も鮮明に覚えている。みなべ町にあるホテルで開かれていた会議の取材中だった。会議の休憩時間にホテルロビーのテレビに目を向けると、家屋や車などが津波にのみ込まれる映像が引っ切り無しに流れていた。ことの重大さがひしひしと伝わり、日本が大きなダメージを受けたことはすぐに分かった。大げさだったかもしれないが、「日本がこのままダメになってしまうのではないか」という思いから体から力が抜けるような感覚もあった。しばらくはテレビのバラエティ番組の放送がなくなり、各所で予定されていたイベントが自粛。日本中が重く沈んだ雰囲気に包まれた。日本を揺るがしただけでなく、世界的にも大きな注目を集めた▼震災後、いろんな方向から防災対策が検証された。備えの大切さやいち早く避難することの重要性などが教訓として生かされ、防災対策を考える大きなきっかけにもなった▼しかし、時間の経過とともに東日本大震災を知らない子どもたちが増えている。被災地から遠く離れた我々も含め、当時に生きていた人たちが震災の脅威を風化させず、後世につなぐ責任がある。3月11日は日本人にとって特別な日。防災について考える時間を持つことが必要だ。(雄)