感謝状を受け取る宮本さん㊧と中家さん

 適切な顧客対応でSNSを悪用したロマンス詐欺の被害を未然に防いだとして、御坊署は14日、株式会社紀陽銀行御坊支店の行員2人に感謝状を贈った。

 感謝状を受けたのは宮本真衣さん(39)=田辺市=、中家美夏さん(51)=みなべ町=で、同署によると、昨年12月6日、同支店を訪れた女性が60万円の振り込みを行ったところ、手続き後に振り込み先が入金停止口座と判明。詐欺の可能性があるとみながら、同13日に返金のため来てもらった女性に対し、中家さんが振り込みの理由を確認すると、「知人とのお金の貸し借り」と答えた。さらに返金するお金を女性が別の口座に振り込もうとしたことから、上司の宮本さんに報告。宮本さんが通報し、詳しく聴いたところ詐欺と分かった。

 調べによると、女性はSNSで知り合った海外の医師を名乗る男からお金を要求されていたという。同署は全国で被害が多発しているSNS型ロマンス詐欺とみて捜査中。この詐欺はSNSを通じて恋愛感情や親近感を抱かせ、その後、うそを言って金銭をだまし取る手口で、不特定多数の人から現金等をだまし取る特殊詐欺とは別に、SNS型投資詐欺とともに今年度から新たに分類され、県内でも合わせて昨年は11月末までに115件、8億8000万円以上の被害が認知されている(御坊署は0件)。

 感謝状は髙垣栄一署長が同支店を訪れ、贈呈。2人は詐欺を入金停止口座だったことで疑い、不審な振り込みの金額や理由から確信した。宮本さんは「金融機関は最後の砦。自分ごとのようにお客さまの身になって、話をしっかり聞くことができました。詐欺が多くなっているので事例を参考に、これからも人ごとではなく、お客さまに寄り添って業務を行っていきたい」、中家さんは「お話を聞かせていただく中で、こちらが『おかしい』と思っても、お客さまが気づいていないときがあり、なるべく傷つけないように心がけています。普段の会話が大事。私たちもお客さまも、詐欺に気づくためにも、これからも会話するようにしたい」と笑顔を見せた。