
日高川町玄子、浄土宗法性山円通寺の豊嶋英雄住職(70)は寒の入りの5日、今年も夜間に「南無阿弥陀仏」を唱えながら地域を歩く寒行を始めた。2月2日までの寒中の約1カ月間、毎晩行う。
今年で44年目。副住職をしながら郵便局勤めをしていた26歳のとき、「27歳から何かを始めなさい」というお告げのような夢をみたことがきっかけ。網代笠に黒衣、白衣、袈裟、数珠を身に着け、伏鉦(ふせがね)をたたきながら一日3~4時間、川辺地区を中心に実施し、毎晩10㌔以上を歩いている。期間中は、米や酒、肉、魚などは一切口にせず、食事ははったい粉や豆乳、野菜などの植物性食品を食べて過ごす。今まで体調のすぐれない日や雪、大雨などでも歩き、寒行期間中に父を亡くしたときも一日も休むことなく続けている。
今年の初日は中津川の宗福寺、千津川の長泉寺と上人堂(尊光寺)などで念仏を唱えながら巡り、地域の安全を祈願。2日目は蛇尾や平川地内など、3日目は入野や松瀬など巡った。期間中に集まった浄財は福祉施設に寄付する。
豊嶋住職は長年にわたって続けていることに対し、「仏様が背中を押してくれ、自然の流れに身を任せて続けてこれたと思う。今後も体が続く限り続けさせていただきたい」と話している。