近年の温暖化に伴い、水稲の出穂期以降の高温で発生する障害「白未熟粒」が増加している。澱粉(でんぷん)がきちんと詰まりきらないために米粒が白く濁ったように見え、米の品質が低下。日高地方で約7割の作付面積を占める主力品種のキヌヒカリは白未熟粒に比較的弱く、高温障害に強い品種の「にじのきらめき」に代える農家が増えている。
白未熟粒は茎から穂が出て米粒が形成されるまでの間に、平均気温27度以上の日が20日以上になると発生する。キヌヒカリの場合は7月下旬ごろから出穂するが、今年の場合、ほとんどの日が27度以上となっている。
日高地方でも以前から高温障害に強い品種を望む声があり、県は2022年にキヌヒカリと栽培サイクルが近いにじのきらめきを奨励品種に登録。同年の県内作付面積は22㌶だったが、翌23年には4倍以上の91㌶に増加。日高地方では23年の作付面積は53㌶で、県内の半分以上を占めている。
にじのきらめきは国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が開発。キヌヒカリと比較すると、出穂は2日程度遅く、成熟も5日程度遅い。高温障害の白未熟粒が発生しにくいほか、収量性が高く、ご飯の炊きあがりが艶やかで味にも優れているという。
日高町志賀の70代の生産者も今まで栽培していたキヌヒカリから今年はにじのきらめきに替えており、「順調に生育し、いい出来栄えの米が収穫できました」と話していた。