170カ国・地域を訪れて数々の不思議を紹介してきたTBS系「日立 世界・ふしぎ発見!」。先月31日の放送で、1986年以来38年の歴史に幕を下ろした◆長年司会を務められた草野仁さんが今から22年前の2002年10月、市民教養講座の講師として御坊市を訪れた。当時は記者会見の時間が設けられており、講演後にインタビュー。大変丁寧に接してくださり、一つ一つの受け答えに自然な温かみとお心遣いが感じられた。本当の意味での上品な人とはこういう人をいうのだろうとこの10分間でファンになり、それまでにもよく見ていた「ふしぎ発見」を、より積極的な興味をもって見るようになった◆世界は驚きと感動に満ちている。各国で果敢に体験を重ねるミステリーハンターの皆さんが、そのことを実感させてくれた。王国としてのハワイの悲しい歴史、シーボルト事件の真相など、個人的に勉強になり忘れられない回も多い。この番組が世界初のテレビ取材となった場所が幾つもあった。実績と、番組づくりの姿勢が信頼を得た証であろう◆最終回では、4万時間に及ぶ映像からテーマ別にベスト1を紹介。チリ地震で30年も倒れたままになっていたモアイ像が、黒柳徹子さんの一言がきっかけで日本企業のクレーンによって修復され、その後世界遺産となったこともあらためて紹介された。まさに世界を超えて物事を結ぶ力を持った番組であった◆テレビ欄で、最終回の紹介文をL字型に読むとメッセージが現れた。「38年ありがとう今後は皆さんがミステリーハンターだ」。そして草野さんは最後に、あのにこやかな笑顔でおなじみの一言をくれた。「それではまた、ふしぎの世界でお会いしましょう」。(里)