串本町にある国内初の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」での初のロケット打ち上げが今月9日に迫ってきた。すでに予定されている公式見学場は予約満杯で、国道42号などマイカーで訪れる見物客の渋滞が予想されており、注目度の高さをうかがわせている。

 今回、打ち上げるロケット初号機は「カイロス」。当初、2021年度中に発射を予定していたが、コロナや世界情勢の影響で打ち上げを計4回延期しており、地元関係者らも待ちに待った打ち上げ。初号機には内閣衛星情報センターの小型衛星を搭載し、既存の情報収集衛星に不測の事態が発生した時に代わりに活躍するそうだ。アメリカでは先月23日、民間企業が開発した着陸船が世界で初めて月面着陸に成功したというニュースもあり、将来的には和歌山から飛び立つロケットが月や木星まで行くのではないかと思うとわくわくする。

 ロケット打ち上げ事業は観光資源や関連産業の誘致などで、県や地元自治体の期待が大きい。県主催で昨年から宇宙シンポジウムなどが開催され、串本古座高校では新年度から全国初の宇宙探究コースを新設。地域全体が盛り上がっているように思う。幸い日高地方には日高川町にかわべ天文公園があり、いまはフットサルなどの人工芝コートやボールプールの整備が計画されているが、既設の1㍍望遠鏡も使って天文教室、大学の研究などに活用する方針。また、みなべ町には宇宙少年団梅の里分団もあり、宇宙に縁のある地域でもある。スペースポート紀伊などとタイアップし、何か日高地方でも宇宙への夢を育む取り組みを展開してほしいものである。(吉)