クビアカツヤカミキリの幼虫が排出するフラス(右上はクビアカツヤカミキリのオスの成虫)

 みなべ町農業士会は4月から、梅や桃などの果樹を枯らす特定外来生物のクビアカツヤカミキリによる被害を見つけた人に懸賞金を支払う制度をスタートさせる。みなべ町ではまだ被害は確認されていないが、農業士会は「懸賞金を出すことで重要案件として啓発を行い、早期発見につなげて被害拡大を阻止したい」としている。

 クビアカツヤカミキリは中国などが原産で、2019年に県内で初めて被害が確認され、日高地方でも昨年5月に御坊市、7月に日高川町、9月に由良町で確認された。周辺調査を実施するごとに被害は増え、日高地方の被害状況は昨年12月末時点で梅、桃、桜など38地点113本の樹木に及んでいる。1回の産卵で平均350個の卵を産み、繁殖力も強い。

 農業士会は梅の木が特に多い同町内でクビアカツヤカミキリが見つかれば被害が甚大化し、産地維持が困難になるのではと懸念。早期発見につなげる手段として懸賞金制度を実施する。

 懸賞金は木に発生するフラス(木くずと糞が混ざったもの)を見つけた人に出す。カミキリの個体は対象外。農園や庭木の梅、桜、桃の木が対象で、支払う金額は4月のスタートまでに決定する。町やJAとも協力し、フラスを見つけた場合はJA紀州みなべ営農センターへ連絡するよう呼びかける。

 農業士会の月向雅彦会長(62)は「被害拡大を防ぐためには、発見してくれる人が大切だと思っています。少しでも怪しいと思ったものは連絡してもらい、日本一の梅の産地を皆で守っていきたい」と話している。