台湾で総統選挙が行われ、与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が558万6019票を獲得して当選した。民主化され直接選挙が行われるようになって以来、同じ政党が3度続けて政権を担うのは今回が初めてとなる◆なぜ行ったこともない台湾がこんなに好きなのか。考えると幼い頃、家の壁には大きな日本地図が貼ってあり、その一番下の左端にある「台湾」の2文字に、海の向こうの国として何か神秘的なイメージを抱いていた。成長してテレビ、本などで風土や文化、明るい国柄を知り、歴史を知り、厚い親日の気持ちを持ってくれている経緯を知った◆複数の資料で調べた歴史によると、台湾島は17世紀に清王朝が領土に組み込んだ。その後、日清戦争で勝利した日本が台湾を統治。当時陸軍中将の児玉源太郎が総督に就任、補佐役をのちに関東大震災後の東京を整えた後藤新平が務め、近代台湾をつくった。この時に衛生環境が整い、それまでの風土病を一掃。学校教育も整備された。日本の太平洋戦争敗戦により、台湾は中華民国に返還。その後、国共内戦(国民党と中国共産党の戦い)が起こって敗れた国民党が台湾に逃げ、中華民国政府を置く。大陸では中華人民共和国が成立し、今に至る。古来、中国大陸では幾つもの国が興ってきたが、現在の中華人民共和国が台湾島を領有した時期はない◆今月1日発生の能登半島地震に際し、台湾の市民から11日現在で14億円以上の義援金が寄せられたという。東日本大震災発生時にも、どの国よりも多くの義援金が寄せられていた。ただ頭が下がる思いだ◆同じ時代の出来事はすべて何らかのつながりを持ち得る。日本の歴史はアジアの歴史と不可分、アジアの歴史は世界の歴史と不可分だ。もちろん未来も。(里)