日本の夏の風物詩といえば花火。コロナ前までは全国各地で行われていたが、2020年から22年までの3年間は感染防止対策のためほとんどが中止となった。しかし、今年はコロナの感染症法上の位置づけが2類相当から5類に引き下げられたことなどから各地で再開。日高地方でも今月1日にトップを切ってみなべ町の鹿島奉納花火祭、13日には日高川町や印南町でも開催され、大勢の家族連れらでにぎわった。

 打ち上げ花火の由来は江戸時代まで遡り、1733年に隅田川で行われた水神祭が始まりとされる。当時、飢饉や疫病の流行で多くの死者が出たため、慰霊や悪疫退散のために催された。

 鹿島奉納花火祭についても歴史的な言われがある。言い伝えによると、1707年の大地震で津波が打ち寄せてきた際、南部湾に浮かぶ鹿島から怪火が現れて津波を東西に分け、地域を救ったという。住民らは翌08年から鹿島に感謝の気持ちを込めて花火祭を実施。当時はたいまつやちょうちんを手向ける形だったが、江戸時代後期になって打ち上げや仕掛け花火が行われるようになったという。

 花火は本来は無病息災や魂の癒しを神に祈願するという意味合いがあったが、近年では娯楽へと移り変わった。

 26日には日高地方最大の御坊市の花火大会が4年ぶりに開催される。大玉の20発乱れ打ち、5カ所から一斉に打ち上げられる圧巻のワイドスターマインなど3000発規模で晩夏の夜空を彩る。

 花火にはストレスを発散させる効果がある。新型コロナで溜まった鬱憤(うっぷん)を一気に晴らし、コロナの完全終息を神に祈願しよう。(雄)