先日、日高高校の国際理解教育講座で北朝鮮による日本人拉致被害者の一人、横田めぐみさんの弟で、被害者家族らでつくる「家族会」代表の拓也さんの講演を聞いた。
めぐみさんは1977年11月、部活終わりの帰宅中に失踪。拓也さんは当時9歳だった。失踪から約20年後、脱北工作員の証言で、拉致が明らかになった。同年、拓也さんの父滋さんらが拉致被害者家族連絡会を発足させたが、当時のマスコミの中には拉致を疑惑としか取り上げないところもあった。
2002年9月、金正日国防委員長は当時の小泉総理との首脳会談で、北朝鮮による拉致を認めた。めぐみさんについては死亡とし、骨が送られてきたが、調べた結果偽物で、また帰国した拉致被害者の情報で生存の可能性が高いことがわかった。
拓也さんは北朝鮮の拉致行為、またその後の対応に怒りを感じていることが、講演を通じて強く感じられた。「13歳の女の子が突然袋のようなものを頭に被せられて連れ去られ、船底に閉じ込められて泣き叫び、壁を血が出るまでかきむしり続けていたこと想像してみてください」と、唇を噛み締めながら訴えていたことは印象的だった。
拉致被害はニュースでよく取り上げられているのでもちろん知ってはいたが、あくまで情報としてだけで、家族の思いをここまで強く感じることはなかった。今回の講演では人権を無視した非道な拉致行為、取り戻そうとする家族への当初の世間の風当たり、北朝鮮のいい加減な対応などで、悲しみや怒りが入り混じった家族の思いが伝わった。拓也さんは一刻も早い解決を願うとともに、拉致問題が風化することを危惧していた。筆者も紙面を通じて協力できればと思う。(城)


