11日で東日本大震災から12年が経つ。マグニチュード9・0の巨大地震は、東北・関東地方を中心に壊滅的な被害をもたらし、大津波や火災などで2万2300人以上の死者・行方不明者が発生した。日本の歴史に大きな影響を与えた出来事であることは間違いなく、これから一週間いろんなメディアで震災に関する特集を目にしていくだろう。震災当時、筆者は学生だった。被災地、特に東北への支援をしようと、募金や物資提供、現地ボランティアなどいろんな学生活動があちこちで起こった。また、周りの学生の就職観も変わり、故郷のために貢献したい、地元に戻って就職したいと地元志向の学生が増えていったように思う。

 インフラ復興のめどが付いた今、被災地では若者の流出が課題となっている。震災前年の2010年と20年との国勢調査の比較によると、東北各県の人口減少率は福島で9・7%、岩手で9・0%となっており、最も数字の小さい宮城も2・0%で全国平均1・5%を上回っている。地方にいる若者が都会に出たいと考えるのは自然なこと。被災地も年が経つごとに以前の様子が取り戻されているという表れなのかもしれないが、震災が私たち世代の地方回帰のきっかけとなった出来事だっただけに少しさみしい。一方で子どもの頃に被災した世代が社会人となって地元を盛り上げる人もおり、この動きが日本経済の活性化につながる原動力となってほしい。

 いずれ起こるとされている南海トラフ地震、その復興への道のりは東日本大震災の復興の過程が必ず参考になる。これから一週間目にする東日本大震災のいろんな報道や記事を「我がごと」の意識で見ていくと、違った気づきを得られるのではないか。(鞘)