
社会医療法人黎明会北出病院は8日から、変形性ひざ関節症をはじめとするひざ関節疾患を対象とした脂肪由来幹細胞治療(ASC治療)外来を開設した。ASC治療外来の設置は県内初で、日常生活に支障をきたすひざ関節症状のさらなる長期的な改善に期待がかかる。
ASC治療とは、少量の脂肪から採取した幹細胞を増殖させ、患部に注射で投与する再生医療の一つ。これまで修復されないと考えられていた軟骨などの組織の修復が期待されている。
中高年に多いとされる変形性ひざ関節症は、炎症によりひざ関節の軟骨や半月板が変形し、歩行に痛みを伴う。軽度なうちは痛み止めやヒアルロン注射などで対応できるが、進行すると最終的には人工関節に置き換える手術が必要となる。
北出病院では手術に至るまでの治療法として2020年、血液中のタンパク質の作用を利用した「PRP療法外来」を設置。これまで一定の効果を挙げているが、さらに治療効果を上げるためASC治療も導入し、外来の名前も「再生医療外来」に改めた。
治療を受けるにあたっては、再生医療が可能かどうかを判断する必要がある。事前にレントゲンや血液検査を行い、感染症や特に異常がなければOKで、自身の下腹部から脂肪の幹細胞を採取し、それを培養したものを患部に投与する。リハビリと併用すれば、約1カ月で治療効果が表れるという。
担当医の阪田武志医師(59)は「ASC治療は症状が進行しきっていない人、場合によっては手術が必要な人も治療を受けることができ、痛みの軽減を図ることができます。保険適用外で治療費も高額ですが、治療のパワーは強く、一度検討する価値はあると思います」と話している。
治療費は132万円から。診察は火・木曜午後2時から4時まで。