原材料価格や原油価格の高騰に加え、円安の影響も大きく受け、断続的に続く物価の高騰。再値上げ、再々値上げなどもあり、今月も多くの食品の価格が上昇した。生産者側も価格改定は苦渋の決断。利益を得るために製造しているので仕方ないことと理解している。

 こうして生産者が価格を決められるものはまだいいが、野菜や果樹など主に卸売市場に出荷されるものは、生産コストが大幅に上昇したとしても、商品価格に転嫁することができず、利益の減少をくい止めることができない。農業は肥料や資材の価格が急上昇しており、肥料は今年6月から10月の価格が前期より2倍近くに上がったものもある。ハウス施設栽培の加温などに使う燃料の高騰でも大きな影響を受けており、A重油は、2020年度の平均が1㍑当たり80・69円だったのが、21年度には105・37円になり、今年度は120・33円と大幅に上昇している。国や自治体で肥料や燃油の価格高騰対策補助事業を行っているが、上昇分全てをカバーするものではない。

 農業はただでさえ、高齢化や後継者不足、未耕作地の増加が課題で、その上生産コストの上昇が続けば農業者の減少が加速してしまう恐れがある。日本の食料自給率は21年度カロリーベースで約38%、飼料自給率は25%となっており、多くを輸入に頼っている。そのため食品価格は、世界情勢の変動や円安にてきめんに影響を受ける。一次産業に関わるものが値上がりすれば、加工品の価格上昇にもつながる悪循環。

 食の安全が叫ばれ、食料自給率の上昇を目指している日本は円安の今こそ、輸入に頼らない食生活に大きな一歩を踏み出すとき。まずは一次産業に思い切った施策が必要では。(陽)