
印南町自主防災会連絡協議会(濵中芳光会長)主催の防災講演会は、防災の日の1日に印南町体育センターで開かれ、町職員や消防団など関係者約300人が参加した。
講演会では、宮城県名取市閖上(ゆりあげ)に在住し、東日本大震災で当時13歳の長男を亡くした丹野祐子さんが自身の経験を語り、大規模災害に備えることの必要性を訴えた。
丹野さんは元々、夫とその両親、長女、長男の6人で暮らしており、震災当時は長女の中学の卒業式に出席。公民館の2階に避難して助かった。地震が発生した際「津波警報が出ていたことは分かっていたが、怖いとは思っていなかった」と振り返り、「名取市はそれまで津波の経験がない地域。当時は津波のことよりもライフラインが止まったことが気になり『今晩のご飯はどうしよう』ということを真っ先に思っていました」と地震発生当時の率直な感想を述べた。
だが、地震発生から1時間6分後、閖上の町を津波がのみ込んでいった。「9㍍の津波が襲ってわずか3分で私たちの町が壊滅状態になりました」と津波の恐ろしさを伝えた上で、「その日の朝、何気なく送り出した息子に二度と会えなくなるなんて思ってもみませんでした。いざという時にどうするかを家族で話し合えばよかった」と後悔を語った。
震災翌年の秋に、息子の生きた証を残したいと亡くなった閖上中学校の生徒14人の慰霊碑を建立。現在は「津波復興祈念資料館 閖上の記憶」の代表を務め、毎年3月11日には追悼の集いを行っている。
丹野さんは「震災で生き残った子どもにスポットが当たりがちだが、亡くなった子どももいることを忘れないでほしい」と、活動に対する思いとともに「災害は忘れる前にやってきます。遺族にならないためにも、いまできることを考えてほしい」と参加者にメッセージを送った。


