写真を見せながら講演する吉川さん

 美浜町の県立みはま支援学校(植野博之校長)で1日、平和学習が行われ、広島市の被爆体験伝承者の吉川和子さん(67)が生徒たちに、被爆者から受け継いだ体験談や平和への願いを語った。


 吉川さんは、3年間の研修を受けたあと、4年前から伝承者として活動。8歳で被爆し、「証言者」として国内外で活動しながら昨年急逝した岡田恵美子さん(享年84)の体験談を紹介した。


 岡田さんは爆心地から2・8㌔の自宅で母と2人の弟と4人で朝ご飯を食べていたとき、飛行機の音が聞こえた。空襲警報が解除になっていたため、日本の飛行機だと思い、2人の弟が庭に出て、母はその姿を窓越しに見た瞬間、原子爆弾がさく裂。弟2人は服がボロボロになり、母はガラス片が全身に突き刺さった状態で3人の子どもを連れて必死に逃げた。すぐ近くに練兵場があり、多くの人が逃げ込んできたが、息も絶え絶え、岡田さんも気分が悪くなって倒れ込んだという。母は、学徒動員に出たまま帰らない4歳上の姉を探しに行って2日間帰らず、教員だった父は救護活動に走り回り、岡田さんは練兵場でたくさんの死体と一緒に2日間横になっていた。祖母が迎えに来て東広島に避難することができた。岡田さんは「ただ証言するだけで平和はこない。行動しなければ」と、核兵器廃絶のための署名活動に積極的に取り組んだ。


 吉川さんは生徒たちに「自分にとっての平和は何かをまず感じてほしい。そしてその平和を奪うものを許さない思いを持ってほしい。当時、戦争はダメだとはなかなか言えなかった。人と違うことを言うのは勇気がいるが、自分が勇気を出して言わなければ人は受け止めてくれない」とメッセージを送った。