2020年1月、新型コロナウイルスが国内で初めて確認された。その後、猛威は止まることなく、現在は第7波。一日の新規感染者は国内で20万人を超え、県内でも1000人台が続いている。ただ、コロナの毒性化が弱まり、以前のように重症化する割合が減っているようだ。

 現状の感染数を考えれば、何らかの対策で抑え込むというのはかなり難しく、不可能に近いのではないだろうか。感染した場合、入院を勧告されたり、濃厚接触者を特定するなど保健所の調査への協力を求められたりする。感染者や濃厚接触者が働いている会社内で発生すると、業務がスムーズに進まなくなることもある。

 一方、世間に目を向けると、ウィズコロナやポストコロナの声が大きくなりつつある。これまでのような恐怖心が薄れ、コロナと共存する社会を考えるような雰囲気が存在するのは確か。結核などの感染症並みに危険度が高い「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」への引き下げの声もあり、岸田文雄首相は「感染症法上の分類の引き下げについては、もう少し状況をみて判断したい」としているが、第7波が落ち着けば論議を進める考えも示している。

 5類に引き下げられれば、制約のある生活が和らぎ、医療機関や保健所の負担も軽減する。一方で個人の医療費が増加し、入院調整が受けられなくなるということが指摘されている。外出自粛などの行動規制がなくなる半面、それだけ自己責任が大きくなるということ。
 国民の身体への安全を重視するか、社会活動に重点を置くのか。マスクを着用していなかった2年前の生活に戻すのはそう容易ではない。(雄)